私保険の種類
労働災害分野における民間保険会社の保険については、「労働災害総合保険」と「業務災害総合保険」があります。
労働災害総合保険
・・・法定外補償保険および使用者賠償責任保険の2つの保険の組み合わせから出来ています。
法定外補償保険
政府労災保険等の上乗せとして(政府所管の労働災害保険の給付決定がなされた場合に)、 被災した被用者またはその遺族に補償金を支払うことによって被る損害について、保険金を支払います。
死亡補償保険金(予め設定した金額)
後遺障害補償保険金(予め設定した金額)
休業補償保険金(予め設定した金額)の3種類があります。
(業務災害・通勤災害の認定、後遺障害等級・休業日数の認定については、政府労災保険の判定に従います。)
使用者賠償責任保険
事業主側の責任となる労働災害が発生した場合、被災した被用者またはその遺族からの損害賠償請求により、貴社が法律上の損害賠償責任を負担することによって生じる損害に対して、てん補限度額を限度として、被保険者に保険金を支払います。
被災した被用者またはその遺族に支払うべき損害賠償金は、具体的には、死亡や後遺障害の場合の逸失利益(本人の得べかりし利益の喪失)、休業損失 、慰謝料、 争訟費用(弁護士費用を含む。)があります。
例えば、次のような保険商品があります。
<東京海上日動>
東京海上日動「労働災害総合保険」http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/hojin/rosai/el/
<損保ジャパン日本興亜>
損保ジャパン日本興亜「労働災害総合保険のご案内」
http://www.sjnk.co.jp/~/media/SJNK/files/hinsurance/contents1/roudousaigai_1702.pdf
業務災害総合保険
通常、労働災害総合保険よりも、こちらを勧められます。
(1)補償内容
①労災事故に関わる幅広い補償
従業員の就業中のケガに対する補償(死亡・後遺障害、入院、通院)に加えて、労働災害における事業者側の賠償責任(使用者賠償責任)についても補償します。具体的には、通常次のようになっています。
①従業員の方が、業務に従事中または通勤中に被った身体障害について、被保険者(事業者)が法定外補償を行うことによって生じる損害に対して、保険金を支払います。
②死亡補償保険金・後遺障害補償保険金死亡された場合、または所定の後遺障害が生じた場合に保険金(予め設定した金額)を支払います。
③入院補償保険金・手術補償保険金入院された場合、または所定の手術を受けられた場合に保険金(予め設定した金額)を支払います。
④通院補償保険金通院された場合に保険金(予め設定した金額)を支払います。
これ以外にも、保険会社により、様々な特約が設けています。
②労災保険支給と関係なく支払い
ケガに対する定額補償については、政府所管の労働災害保険の認定に関わらず、迅速に保険金を受け取ることができます。
③「売上高」による保険料算出、事業者単位での無記名加入
売上高により保険料を算出する仕組みとなっており、役員・従業員の人数に変動があった場合でも報告は不要です。
また、パート・アルバイトの方も自動的に補償の対象となります。
例えば、次のような保険商品があります。
<東京海上日動>
同「超Tプロテクション」
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/hojin/rosai/cho-t-protection/
(2)商工三団体(商工会議所、商工会と中小企業団体中央会)に加入している場合等
商工三団体(商工会議所、商工会と中小企業団体中央会)に加入していたり、信用金庫等に出資していれば、そうでない場合よりも、団体割引により保険料が割安になるなどの特典があります。具体的には、次のような保険商品があります。
全国商工会議所の業務災害補償プラン(あんしんプロテクト W)
東京商工会議所の業務災害補償共済(売上高方式)(あんしんプロテクト W)
全国中小企業団体中央会の業務災害補償制度(経営ダブルアシスト)
商工会の業務災害保険
主な取扱保険会社
東京海上日動火災保険株式会社、損害保険ジャパン日本興亜株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社