高次脳機能障害

始めに

交通事故に遭い、頭部に衝撃を受けた被害者が、治療後、外見は回復しているのに事故前と比べて人格や性格に変化があったり、記憶保持等に問題が生じ、就労が困難になったりする場合があります。

このような場合、高次脳機能障害(こうじのうきのうしょうがい)と呼ばれる後遺障害を発症している場合があります。

 

症状

高次脳機能障害になると、記憶障害、注意障害、半空間無視、社会的行動障害、失語症・失行症などの症状がおこります。
交通事故後に病院で撮影されたCT画像やMRIの画像からの所見では、明確な脳の損傷が発見されない場合もありますが、その場合も被害者の記憶力や注意力の低下が生じることもあります。

 

被害者の意識障害や記憶障害が続くようなら、主治医にCT画像やMRI画像の検査を依頼するべきです。
受傷から時間がたっていない時期にきちんとした検査が行われていることが重要です。

 

また、高次脳機能障害は精神的側面にも影響が生じる例があります。
そのため、被害者の仕事や日常生活などに支障が生じる場合もあります。

 

もし、周囲に交通事故に遭われた後に、以下のような症状が出ている場合には高次脳機能障害が疑われますので、お早めにご相談下さい。
・正確な言葉が出ない
・会話が理解できない
・話すことに非常に手間取る
・文字をうまく書けない
・同じ言葉を連続して発する
・すぐに怒ったり、泣いたり、感情の起伏が激しい
・暴力的になった

 

診断名

高次脳機能障害の診断名としては、
「脳挫傷後遺症(のうざしょうこういしょう)」
「びまん性軸策損傷後遺症(びまんせいじくさくそんしょうこういしょう)」
「急性硬膜外血腫(きゅうせいこうまくがいけっしゅ)」
「急性硬膜下血腫(きゅうせいこうまくかけっしゅ)」
「外傷性くも膜下出血(がいしょうせいくもまくかしゅっけつ)」
「脳室出血(のうしつしゅっけつ)」などが考えられます。

 

高次脳機能障害の認定基準

等級 認定基準

1級1号

(要介護) 身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの

 

2級1号

(要介護) 著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲が自宅内に限定されている。
身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの

 

3級3号

自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。
また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。
しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの

 

5級2号

単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。
このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの

 

7級4号

般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの

 

9級10号

一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

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