挟まれ事故・巻き込まれ事故

1 はじめにー事故の型別では3番目に多い類型

労働の現場で、機械や器具に挟まれてしまった・巻き込まれてしまったという事故が後を絶ちません。
厚生労働省の「平成29年の労働災害発生状況の概要」によると、死傷災害について事故の型別では3番目に多い類型でした。

 

機械や器具に挟まれた・巻き込まれたとなれば、手指や足であれば切断を余儀なくされることも多いですし、頭部や胸部であれば、お亡くなりになるケースもあります。

 

こういった事故は、業務の性質上、製造・建設・運送など、わが国の重要なインフラを担う業界で特に発生しやすい傾向にあります。
安全への対策は各所でなされているものの、全ての企業、全ての現場で万全の対策がなされているわけでありませんし、どうしても防ぎきれなかった事故も存在します。

 

このような中で、残念ながら怪我を負ってしまった方への賠償については、当然、全ての事故について適正になされなければいけません。

 

2 会社、元請けに対する損害賠償が可能なケースも

前述の通り、重症化しやすい事故ですから、相応の補償(数百万円から数千万円)がなされることが少なくありません。

 

また、労働現場の管理責任について「安全配慮義務違反(社員が安全で健康に働くことが出来るように配慮する義務)」や「不法行為責任(事故の原因が企業の活動そのものを原因とするような場合や、労働現場の建物・設備に危険があった場合などに認められる責任)」などを根拠として会社、元請けに対して多額の損害賠償請求が認められるケースも多くなっています。

 

このような事故ではロール機、撹拌機(ミキサー)、プレス機の金型、コンテナ、スクリューなど様々な機械・器具が起因物となりますが、これに対して、防護措置・安全措置の欠陥・不履行や、安全のための教育・周知徹底の不備を根拠に責任を追及することが可能です。

 

しかしながら、こういった事情を知らずに、労災保険からの給付のみを受け取って「一件落着」としてしまっている方が多いのもまた事実です。

 

 

3 事例でみるご相談ご依頼いただいた場合の流れ

次のような流れとなります。

 

ケース1.プレス機の作業中の事故

被災者(30代男性)がプレス機作業中に、プレス機から落ちた金型に右腕を挟まれて右前腕部を切断することとなったケース(後遺障害等級5級)

 

当初、被災者がご自身で会社側の弁護士と交渉していました。

会社側は、被災者に1300万円の示談金を提示していましたが、金額が低いうえに、会社側がこれ以上の増額はしないと被災者に通知したことから、ご相談となりました。

 

提示金額の内訳を検討すると、被災者に7割もの過失があるという理由で減額されていましたが、調べてみると、それほどの過失はないことは明白でした。

会社側の弁護士と交渉したところ、会社側が、被災者の過失割合を3割程度であることを前提として、2500万円の示談を提示してきました。

 

もし裁判をすれば、3000万円から4000万円程度の賠償金が認められうる事案でしたが、被災者が、早期解決を望まれる場合には、この金額で示談します。

その場合、ご依頼いただいてから解決まで約2か月のスピード解決になることもあります。

 

ケース2.撹拌機での作業中の事故

 

被災者(40代男性)が、工場内で作業中に、食材を攪拌する機械で作業をしていたところ、機械に右手が挟まれて、右第2,3指基節骨解放骨折の傷害を負い、等級10級6号の後遺障害が認定されたケース。

 

被災者は派遣の新人作業員で、会社が十分な安全教育を行っていないということでしたので、会社に対する安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求が可能かと判断されるケースです。

 

労働局から労災資料を取り寄せて、裁判基準に基づいて損害額を計算して、会社に対して損害賠償請求をします。会社側が、安全配慮義務違反はないと争ってきても、証人尋問など立証が成功すれば、約1500万円などの和解が成立しえるケースです。

 

4 会社・元請けに対して過失を追求するために

先述の「使用者責任」以外にも、労働災害においては様々な角度から「事故を起こさないために全力で被害者の安全に配慮したのか」という検証が行われます。

 

しかしながら、会社や保険会社とのやり取りはとても煩雑で殺伐としたものであり、初めて労働災害に遭われた方がそれを行うのは困難をきわめますし、事故態様に関する資料の収集も容易ではありません。

 

また、損害の計算も容易ではありません。どういった損害を請求できるのか、慰謝料がいくらなのか、仕事が出来なくなったことに対する補償の計算はどのようにするのか、将来介護費は請求できるのかなど専門的知識が必要です。

 

ほとんどの方が労働災害に遭うこと自体初めての経験ですから、ご自身ではよく分からないことが多く、どのように交渉を進めればよいか悩ましく、非常にストレスに感じられることと思います。

 

また、会社側も「労働者(=あなた)」に過失があった」というように、「過失相殺(割合)」などの主張をしてくる場合が少なくありません。そのような時にも、弁護士はあなたの味方となり、適切な主張を行います。

 

弁護士は、労働災害の賠償について熟知しており、こういった複雑なやり取りはお手のものですから、ご依頼いただくことでこれらを一挙に担い、スピーディーに進めることができます。

墜落・転落事故に遭われた方やご遺族の方は、是非一度ご相談ください。

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