火傷

1 はじめに

労働の現場で、飛散・噴出した溶湯(鋳造の現場で、素材を溶かしたもの)や蒸気を浴びる、作業者に引火する、爆発に巻き込まれるなどして火傷を負ったり熱中症となってしまうケースが後を絶ちません。

 

多くのケースで身体に負った火傷が残ってしまうほか、被害が大きく、残念ながらお亡くなりになる事故も少なくありません。

 

2 事例

ある従業員の方は、シャフトの製作のため鋳型へ溶湯を流し込んでいた時に、鋳型から溶湯が噴出し、鋳型の上部にいた作業者が火傷を負いました。

 

当日、被災者である作業指揮者ら8名が鋳込み作業を行なうことになり、午後3時頃より取鍋2基を使用し鋳型の外側の上部にある一次湯口より規定の押湯台のラインまで溶湯を注入し、続いて、取鍋を移動し、二次湯口より鋳込みを行い、途中で湯の保温と酸化防止のために酸化アルミニウム、酸化シリコン等の混合物を押湯の中に投入しました。

 

その作業が終了してから、再び一次湯口から鋳込みを開始して5分程経過した時に鋳抜き用のパイプ(鋳型の中心部に配置)から、「ドン」という音ともに溶湯が吹き出し、鋳型上部の足場にいた作業指揮者ら4名がいたため、全員が噴出した溶湯を全身に浴び、熱傷を負ったという事故です。

 

この事故においては、事前の作業方法の検討が十分でなかったこと(今回のような鋳抜きパイプを取り付けた鋳型は初めてであり、コンピューターでシミュレーションも行っていたが、その検討が十分でなかったこと)や、作業服装の徹底がなされていなかったことが原因として考えられます。

 

3 会社、元請けに対する損害賠償が可能なケースも

前述のとおり、重症化しやすいこのようなケースにあっては、相応の補償(数百万円から数千万円)がなされることが少なくありません。

 

また、労働現場の管理責任について「安全配慮義務違反(社員が安全で健康に働くことが出来るように配慮する義務)」や「不法行為責任(事故の原因が企業の活動そのものを原因とするような場合や、労働現場の建物・設備に危険があった場合などに認められる責任)」などを根拠として会社、元請けに対して多額の損害賠償請求が認められるケースも多いのです。

 

しかしながら、こういった事情を知らずに、労災保険からの給付のみを受け取って「一件落着」としてしまっている方が多いのもまた事実です。

 

4 会社・元請けに対して過失を追求するために

労働災害においては様々な角度から「事故を起こさないために全力で被害者の安全に配慮したのか」という検証が行われるべきです。

 

しかしながら、ほとんどの方が労働災害に遭うこと自体初めての経験ですから、ご自身ではよく分からないことが多く、どのように交渉を進めればよいか悩ましく、お忙しい中で非常にストレスに感じられることと思います。

 

すなわち、①会社や保険会社とのやり取りはとても煩雑で殺伐としたものであり、初めて労働災害に遭われた方がそれを行うのは困難であり、事故態様に関する資料の収集も容易ではありません。
また、②損害の計算も容易ではありません。

 

どういった損害を請求できるのか、慰謝料がいくらなのか、仕事が出来なくなったことに対する補償の計算はどのようにするのか、将来介護費は請求できるのかなど専門的知識が必要です。

 

さらに、③会社側も「労働者(=あなた)」に過失があった」というように、「過失相殺(割合)」などの主張をしてくる場合が少なくありません。

 

そのような時にも、弁護士はあなたの味方となり、適切な主張を行います。

弁護士は、労働災害の賠償についても熟知しており、こういった交渉を業務としており、ご依頼いただくことで、事件がスピーディーに解決する場合が多々あります。

 

火傷の事故に遭われた方やご遺族の方は、是非一度ご相談ください。

些細なことでもお気軽にご相談ください 024-528-5780 相談受付時間:平日8:30~17:30 佐藤初美法律事務所(福島県弁護士会所属)

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